【リリス】ブラックムーン、ダークムーン、小惑星別の意味と解説【占星術】

リリスとは

リリスには3つの側面があり、3つで1つでもあります。

  • 小惑星リリス(天体)
  • ダークムーンリリス(ポイント)
  • ブラックムーンリリス(ポイント)
リリスとは、制御不能かつ洗練されていない女性性のエネルギーで、あなたの(無意識的、非理論的な)野生のエネルギーが何であるかを見る占星術のポイントです。

リリスは世界的にもまだあまり研究が進んでいない分野の1つですが、虐待サバイバーの筆者は、リリスと虐待には関連があると思っています。
リリスの反抗は「家父長制」と関連するからです。

またリリスは欲望や本能とも言われています。
ただその全てが悪というわけではなく、アスペクトとハウスによってはポジティブな意味合いを持つ事もあります。

ただリリスとは「非合理的な存在」
意識を持つ事、理論的で合理的な説明を求めても、無益な結果に終わるかもしれません。

女性はとても複雑な生き物と言われています。
男性から見た場合、そう感じるのでしょう。

「君の事がよくわからなくなった」
そう男性に言われた経験はありませんか?筆者は必ず最後にそう言われます。

それは一人の女性の中に沢山の顔が存在するからでしょう。
それが「リリス」と思ってください。

女性には1つの顔しかないと思っていると、誤解と混乱が発生します。

それは男性も同様で、
「恋人にしたい女」「結婚したい女」「ヤリたい女」
この3つの好みは基本的にバラバラなのではないでしょうか?

女性側もそこを理解できていないように感じます。
要するに男性でも女性でも、
「3つの欲望がある」と解釈する事ができます。

このように、リリスとは3つの異なる欲望(ポイント)を持った1つの存在です。
月が母性を表すなら、リリスは母性のアンチテーゼと言うべき存在でしょう。

リリスとのハードが出生図にある場合、
トランジットとの組み合わせを慎重に見ていく必要があります。

根源的な欲望、苦しみ、不安、あらゆるストレスの原因の背景に『リリス』がいるかもしれません。暴発が起きやすく、非合理的な自己破壊行動の恐れも高くなると言われています。

小惑星リリス:Asteroid1181, 1181Lilith

1927年2月11日に発見された、火星と木星の間の小惑星エリアに存在している唯一の天体『1181 Lilith』です。太陽を周回するのに約4年かかり、各サインに132日間滞在します。

小惑星リリスは、影響力のある関係を示しています。
破壊的な方法で自分の信念を貫く領域、妥協を拒否する領域がわかります。
その人の行動主義を見る事ができます。

占星術師のドナ・ヴァン・トーエンも、小惑星リリスがあるハウスは、従順である事を否定する場所と言っています。

フランスの作曲家で、1913年ローマ賞最優秀大賞を受賞した最初の女性、リリ・ブーランジェ(1893–1918)に敬意を表して小惑星リリスと名付けられました。

ダークムーンリリス:Dark Moon Lilith

地球を一周するのに約119日かかると言われ、各サインに約10日滞在します。
月の3倍の距離でサイズは約4分の1。わずかに赤く光る、雲の様な神秘的で未確認の地球の第2衛星です。

その人のダークな側面、暗くて恐ろしい姿、抑制された部分、眠っていた欲望がわかります。

また相性を見る場合、相手の重要な天体とリリスがアスペクトを築いている場合、恐ろしいほど強い性的魅力を持ち、離れられなくなる相性と言われています。
ごく親密な関係との、ごく限られた瞬間に明らかにされる側面でもあります。

ダークムーンリリスには欲望だけでなく、以下の意味もあると言われています。

  • 欠損・寂しさ・虚しさ
  • 満たされない願い
  • 思い出・郷愁
  • 傷跡・後悔
  • 次善の策を考えなければいけない分野
  • 人生で手に入らないもの
  • 性的なトラウマ・ネガティブな体験
  • 難産・帝王切開・中絶
  • 子殺し・虐待(性虐待)

月が欲求や母性を支配しているなら、ダークムーンリリスはそれらを抑制してしまうという事でしょうか。

ダークムーンリリスには歴史があり、1618年9月2日にある天文学者が存在を報告したと言われています。

1898年(海王星×冥王星0度の時代)にドイツ人天文学者のヴァルダーマト(Georg Waltenmath)が『とらえどころのない月を発見した』と主張。
1898年2月4日、彼と11人の目撃者が『この月が太陽を横切るのを見た』と主張しましたが、他の天文学者たちはその日には何も見ていません。
『引用元:https://www.horusset.com/RIKB/Lillith.pdf』

ダークムーンリリスが占星術の世界に加わったのは、1918年。
セファリエル(Walter Gorn Old)と言う占星術師が取り上げた事がきっかけです。やはり海王星×冥王星コンジャンクションの時代(内部リンク)に発見されたものは、今後オカルティスト達に影響を与え続けそうですね。

ブラックムーンリリス:Black Moon Lilith

各サインに9ヶ月間正確に留まり、9年かけてホロスコープを一周します。
動きは少し不安定で、トゥルー値またはミーン値のいずれかで表示します。

人間の妊娠期間の平均は最後の月経から280日、つまり9ヶ月。
リリスの周期と同じなのは興味深いことです。

ケプラーの法則によれば、月の軌道力学の重要なポイントとなるようです(ただし理由はまだ誰にもわかっていません)
参考文献:The Black Moon Book All About Lilith (English Edition)

人生におけるリリスの資質をバランス良く取り入れ、全体的な見方を示しています。

ほとんどの占星術ソフトウェアは、ブラックムーンリリスのみを表示します。
筆者のリリスの解釈もブラックムーンリリスの解釈です。

占星術師のドナ・ヴァン・トーエンによれば、ブラックムーンリリスのあるハウスは、あなたが利用されたり、単に先に進むことができないかもしれない人生の部分を示しているとのことです。

ブラックムーンリリスは、計算方法に基づいて最大30度変化する不安定なポイントで、一般的にはミーン値で出す占星術師が多いでしょう。

ただより深く研究している西洋の占星術師は、トゥルー値を推奨しています(筆者もトゥルー値が正しいと思います。ミーン値では全く違うと感じます)

またミーン値をシナストリー、トゥルー値をネイタルチャートやアスペクトで見ると書いている占星術師もいます。
参考文献:Lilith: Dark Maid of the Sith (English Edition)

このように現状リリスはまだほとんど解明されていません。
世界中の占星術師たちが研究している最中で、リリスは占星術師達の探究心を刺激する存在です。

神話のリリス

ペルセウス座にあるアルゴルは、タルムードのヘブライ人によってリリスと呼ばれ、『最も邪悪な星』とされました。

メデューサの目(または頭)と関連付けられている事から、誘惑、堕落、魔性などのアートには、ヘビと女性を関連付けるものが多く存在しています。

ただリリスを扱った神話は世界中にたくさんあり、起源を探すのは困難であると言われています。最も人気のある神話は、リリスとアダムの神話でしょう。

神話の背景として共通するのは、『魅力』と強い関連を示しており、『家父長制』を背景に、『女性に服従を強いる』ものが多いという事実です。

リリスはアダムの最初の妻で、彼と同じように土から創造されたと言われています。

ご存知の様に、リリスは同じ土から生まれたアダムが上である事に納得ができず、『下になる事』を拒否して、エデンの園を去ります。
言い換えればアダム(男性性)の優位性を拒否し、楽園を去った『勇気ある最初の女性』です。

ただしリリスとは当初『夜の妖怪(一部ではサキュバスや世界最古の吸血鬼)』と言われる存在であって、中世になって突然『アダムの最初の妻』という解釈が加わりました。

男たち(或いは宗教家)に『反抗的な女性を追い詰めるため』に利用された、とも解釈できます。

エデンを去った後のリリスは、バビロンの砂漠に逃げ込み、悪魔と結婚します。紅海の洞窟に住んでいるのを(リリスと復縁したいアダムが派遣した)3名の天使により発見され、悪魔との間にリリン(子供)を1日に1000人産み、(天使と神への復讐として)人間の子供に悪さを働いた、とされました。
アダムは自分が対等なパートナーを望んでいない事に気がつき、(反抗しないように)自分の一部である肋骨から『従順なイブ』を創造するよう神に頼み、与えられます。

現代ではリリスは勇気のある女性として、『女性解放運動の象徴』の一つとなっています。

シュメール・バビロニアの神話では、リリスは『創造の女神』として崇拝されていました。

百合の花(Lily)はリリスの花として知られ、女神の生殖魔力を表すリル(lilu=ハス)からきています。

女性の魅力を男性が恐れていた、という事実ではないでしょうか。女性を支配する事で秩序を保ちたい、万能感を得たいと思ったのかもしれません。

リリスとはそうした憎しみや恨みの歴史でもあり、支配からの解放と考える事もできます。

占星術の観点からのリリス

★小惑星リリス

小惑星リリスは、影響力のある関係を示しています。
破壊的な方法で自分の信念を貫く領域、妥協を拒否する領域がわかります。

Lilith: Dark Maid of the Sith (English Edition)から引用すると、

権力や抑圧に対する怒り、部下になることを拒否する相手、そうした態度を取る場所がわかります。

例えば第1ハウスなら、他の誰からの指示も受け入れられないほどの激しい独立精神。第3ハウスなら、兄弟や隣人に押し付けらえる事を拒否する。第4ハウスなら、家事に関して何かを言われることは耐え難い苦痛になる、など。

小惑星リリスに『逆行』を持つ女性は、狂った様に愚痴ると言われています。要するに『何に対しても批判がましい』という態度に繋がるそうです。

★ダークムーンリリス

Lilith: Dark Maid of the Sith (English Edition)から引用すると、

抑制された部分を表すことができ、選ばれた少数の人にしか顔を見せない部分を表すと書いています。

努力しても手に入らないもの、手の届かないものを表しており、月が欲求ならアンチテーゼのダークムーンは、無意識的に欲求不満をもたらすと考えられる、との事です。

★ブラックムーンリリス

Lilith: Dark Maid of the Sith (English Edition)から引用すると、

『一部の人はミーン値でより良い結果を公言していますが、私の経験では実際の位置の方がより現れやすいと思う』と記載されています。

筆者は実践が大事だと思っています。
まずはトゥルー値またはミーン値のいずれかで結果を出してみて、よりしっくりくる方を採用するのがいいのではないでしょうか。

またミーン値をシナストリー、トゥルー値をネイタルチャートやアスペクトで見ると書いています。

★男性のチャートのリリス

では、男性のチャートにリリスがある場合はどうでしょう。

Lilith: Dark Maid of the Sith (English Edition)から引用すると、

女性との力の問題に対処しなければならない領域を示している、と書かれています。

・第4ハウスなら、横暴な(或いは愚かな)母親や妻。
・第10ハウスなら、仕事に関係した強力な女性への対処。

また性的嗜好の要因にもなり、健全な関係を維持するのに苦労するでしょう、との事です。

10惑星別・リリスのアスペクト

リリスにアスペクト(60度、90度、120度)がある筆者なりの解釈と、人との交流や鑑定から見えた内容を交えて解説しています。

12星座別・リリスの解説

【リリス】12星座別の意味と欲望、受けやすい虐待は?【ホロスコープと占星術】

12ハウス別・リリスの解説

【12ハウス別】ブラックムーンリリス【12星座別】小惑星リリスの意味


リリスを感性で理解できる音楽

【ただ聴くだけ】音楽で惑星の特徴を理解しよう【感性の占星術講座】

Beyoncé 『Run the World (Girls)』(和訳ページ/外部リンク

リリス×天王星0度を持つ偉大な女性にビヨンセがいます。この曲は『世界の創造主は女性である』という事を聴くだけで感じられる曲です。
女性は男性に守られるだけの弱い存在ではなく、命を生み、育て、精神的なエネルギーを人類に与えてきた強くてパワフルな存在です。女性に自分の偉大さに気づいてもらう事、自信を持つ事、強くなること、男に頼らなくても生きていける事を一貫して発信してきたビヨンセ。それは彼女の時代のエンタメでは心底大変な事でした。新時代の女性のリーダーとして”行動で”証明してきたビヨンセは、リリスの1番ポジティブな力を発揮して社会を変えた偉大な女性ではないでしょうか。

Britney Spears 『Baby One More Time』

リリス×海王星を誤差0度で持つ有名人に、ブリトニー・スピアーズがいます。
ディズニーチャンネル出身のアイドルだった彼女のデビュー曲『ベイビーワンモアタイム』は衝撃的なものでした。まだ10代の彼女にヘソだしのセーラー服を着せて踊らせ、性的な対象として煽るように売り出されたからです(日本と世界では倫理観が違います。世界では児童虐待と認識される行為です)

ある意味男性のロリータに対する幻想や妄想(海王星)のタブー(リリス)を破った形です。当時『まだ処女なのか』を執拗にインタビューで聞かれ、『処女である』事を公然の目の前で何度も答えさせられていた姿は、虐待そのものです。パパラッチに追いかけ回され、家族からは金銭を搾取され、メディアは勝手に彼女を面白おかしく書き立て、ついには家庭も子供も、自分が稼ぎ出した資産を管理する権利までも父親に奪われました。

愛する子供と一緒にいる為に全てを犠牲にする選択をした彼女は、自分が自由に使えないお金を稼ぐ為にラスベガスのショーを続け、妊娠しないように父親から子宮内避妊具を装着され、愛する人との子供を持つ自由すらも奪われました。リリスのテーマである、家父長制の犠牲者の象徴のような女性です。これは2010年代のアメリカで実際に起きた出来事です。しかしこの話には続きがあります、気になる方はリリス×海王星の余談をご覧ください。

Maroon 5 『Misery』(和訳ページ/外部ページ

この楽曲は女性と別れたいけど別れられない男の気持ちを歌った楽曲で、発売時はあの(最もセクシーと言われていた)アダムが美女に暴行されまくるという衝撃的な内容で話題になりました。マルーン5で一番面白いMVです。
リリスを西洋のとある占星術師が『サイコビッチ』と表現していましたが、MVを見ればどんな事かわかる気がします。ここまでされても何故か離れられない強力な性的魅力、縁が生じてしまうリリス。あらゆる悲惨(Misery)な関係の裏にリリスとのアスペクトが関わっていると言われています。歌詞もリリス絡みの恋愛模様ですね…。
そんなリリスはエデンの園でアダムに『平等』を訴え男性の優位性を拒否。アダムの元を去っていきます。奇しくもマルーン5のVo.の名前もアダム。なんか面白い縁ですね。日本でも『Sunday Morning』がトヨタ自動車のCMソングで使われファンが多いバンドです。

参考文献(洋書)

参考文献(英語PDF)

https://www.horusset.com/RIKB/Lillith.pdf

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