こんにちは小室凛紗(@leo_quore)です。キロンのアスペクトを解説していきます。
キロンとアスペクトの基本的な解説
土星とキロンがコンジャンクション(合・0度)
このアスペクトは一般的に『厳格だが低い自尊心と、多くの偉業を成し遂げる』という、相反する極端な運命を背負った魂と言われています。
これらは(特に若い頃は)コントロールが難しいため、凄まじい破壊行動、暴力行為に及んでしまうケースも目立ったかもしれません。
暴走族や校内暴力、家庭内暴力が問題になった世代ですが、これらは『権威への反抗』『社会への疑念』『破壊衝動』という、複雑に絡み合った占星術上の影響である可能性もあるでしょう。
ただキロンには出口として、同じ異端者同士との癒し、という過程があります。
しかし土星は本来『内に籠る(抑圧する)』性質があるため、キロンの傷が必ずしも他者との癒し、という一連のサイクルには繋がらない可能性があります。
このアスペクトは、自分の親(特に父親)、社会にトラウマや傷を持っている人々かもしれません。
運命的に育った家庭環境が自分に支配的であったり、思いやりを持たれない、或いは貧困の中で育つといった、困難を幼少期に経験する可能性が高いと言われています。
そのため安全への欲求が強く、安全を脅かす者に反抗的であったり、自分自身を過度に防衛したり、自分に近づく者を拒絶しやすい傾向が多いと言われています。
視点は常に自分の不完全さや、社会の権威にフォーカスされており、何事にも批判的で、誰も近づけようとしないような、拒絶的な態度でキロンの持つ『傷』へ挑もうとしている魂です。
自分自身の中に沸き起こる安全への欲求、権威者への怒りや恐れ、伝統への反抗という異端的なスタイルで社会を変えたいと願うのですが、残念ながら向き合う必要があるのは『自分自身』である可能性があります。
キロン×土星は、『傷』に対して驚くほど『内向的(或いは抑圧的)』である可能性を示唆しており、他者への厳しさや批判精神は、内面世界の投影である可能性があります。
土星特有の低い自尊心と自己評価、生きている価値がないような、不完全さへの絶え間ない自己批判と内面的な緊張感が、『自分自身に向くことから避ける』ために、他者への批判としてすり替え、自己を防衛する姿勢に繋がっていきます。
運命的に父親(或いは権威者)が自分に厳しく冷淡で、自分の傷を表現することを許可されないような環境に生まれ育つ、或いはもっと悲惨な場合、何らかの(肉体的、感情的、精神的な)ルーラーによって虐待された(或いは彼らによって見捨てられた)経験を持っている可能性があります。
癒しの過程で必要になるのは、これらの『自分自身の傷に触れること』です。
土星の性質上、傷が内面に抑圧されており、気が付かないと永遠に苦痛の中に閉じ込められてしまう恐れがあります。
いずれにせよ最終的には自分自身の傷に触れることでしか癒されない、と自覚するようになっていくので、カウンセリングや自己啓発、哲学や心理学などを用いて、その傷に立ち向かっていくでしょう。
自分自身の傷を癒す過程で社会に居場所ができてきますが、それまでは居場所を見つける事に苦労するかもしれません。あなたにとって社会や文化、伝統や権威は、不信感や疑念がつきまとうものだからです。
傷を癒す旅路の中で、土星の制限やルールがすでに『機能しない』といった感覚に出会うでしょう。
そして社会のもっと大きな枠組みや秩序への理解、そこに囚われている囚人に、自分自身の傷に向き合うことを示せる特別(或いは異端的)な能力、使命感に目覚めていきます。
同時にそれらを通じて子供時代に誰も示してくれなかった、傷を表現する方法、自分自身への過度な批判精神と低い自己評価の傷を癒していく事となるでしょう。
ただそこに至るには、土星にまつわるあらゆる問題やテストに直面する恐れがあります。
例えば批判、悪口、抑圧、自己破壊衝動(自傷、アルコールなど)、権威者との衝突、自己評価の低さなどです。
しかしそれらの経験を通して、『囚われの身から脱出するヒント』を見つけていくことになります。
自分と同じように囚われの身の人々に脱出の手がかりを示せるかもしれませんが、必ずしも『共有』といった形は必要ないと気がつくかもしれません。
誰よりも秩序や安全に敏感で、構造への理解力で人を癒す能力を持ったヒーラーですが、残念ながら自分を秩序や安全へ導いてくれるヒーラーには出会えないかもしれません。
人に社会の構造や自分自身の手で秩序を見出す方法を教えられる人なのに、自分はいつまで経っても囚われのまま苦労させられるでしょう。
他者から見たあなたは『権威に反抗的(批判的)な冷笑主義者』、或いは『他者に自分を判断されることを嫌う人』に見えているかもしれません。
しかし囚われから脱出するには、冷めた視点や批判精神、秩序が必要だと感じているだけです。それは同じように幼少期に親や社会に冷淡に扱われ、安全を確保できなかった者にしかわからない孤独でしょう。
あなたは自分の傷に向き合うたびに強くなり、地位や権力を手にし、困難の度に人格が磨かれていきます。
何らかの形で高い地位を確立できるかもしれませんが、そこに至るには大変な困難が伴います。
人生では自分とは何か、構造やルールとは何か、秩序の必要性、権威とは何か、を探求する旅となります。
これにより独特の社会構造の理解、秩序への考え方、ルールの在り方に関する異端的な発想を持つ可能性があります。
キロンの入っているハウスの分野に根源的な傷やトラウマ、恐れがあり、その分野への取り組みや克服を通じて抑圧からの解放、秩序や構造を見出すことができれば、根源的な傷の癒しへと繋がっていくかもしれません。
余談「J・K・ローリング」
このアスペクトを持つ、ハリーポッターの作者であるJ・K・ローリングのトランスジェンダーについてのツイート(BAZAAR/外部リンク)は大きな波紋を広げています。
「性別がなければ、世界中の女性たちが生きる現実も消し去られてしまう」「トランスジェンダーの人たちを知っているし、愛しているけれど、性別の概念をなくしてしまえば、意義ある形で人生について話し合うこともできなくなってしまう」
こうした「秩序への危惧」に関して、当事者であるトランスジェンダーの筆者は、「もっともな意見である」と思います。しかし、世界中で大炎上しているのです。何故なのでしょうか?
実は多くの人が言葉の表面だけを捉えているのですが、彼女は過去に性的暴行の犠牲者となった、当事者でもあるのです。
「こうしたことを言うのは共感を集めるためではありません。これは、私のような経験を持つ大勢の女性たち、“女性/男性専用のスペース”について懸念を持っていることで、偏狂な人間だと中傷されている人たちとの連帯感からの発言です」
彼女は、現実にこうした恐ろしい経験が「(他の女性にも)起こり得る」と訴えているんです。実際に弱い立場を経験し、当事者となってしまった女性だからこそ見える視点ではないでしょうか。
こうした意見にも耳を傾けることが、冷静な議論を進めると思いますし、本当の意味で社会にとっての安心に繋がっていくのではないでしょうか。筆者は、話し合いがまずは大切だと思っています(お互いの立場を知り、理解し合う姿勢)それは下記の記事でも書いています。
このような性加害の経験に基づき、彼女は長年弱い立場の女性を支援し続けてきました。彼女は『これはヘイトではない』ということを説明しています(BBC/外部リンク)
しかし残念ながら、大衆の平均的な知性では、彼女の話は難しい(或いは複雑)すぎて理解されていないように感じます。これを見ていても、まだまだ多様性に関しては慎重に話し合い、相互理解をゆっくり進める方がいいのではないか?とさえ感じます。実際、最近は西洋でもLGBTQ+への風当たりが悪化しており、不穏な空気を感じます。
以前はハリーポッターの出演俳優らもコメントを発表(フロントロウ/外部リンク)し、彼女を非難していました。ただ彼らは立場上、大衆人気に迎合せざるを得ない立場なので、空気を読んだ模範的な回答。しかし「自分を男性もしくは女性と言った時、それが彼らなのであり、そのように扱うべき」というのは、難しい場面もありそう…。それが(レイプが発生しやすい)トイレや更衣室問題なのかもしれませんね…。
筆者は海王星90度が多いですから、人間に対して性善説で考えてきました。ただそんな理想主義(海王星)は、あっけなく失望(海王星)へと変わってしまうものです。残念ですが、人間は性悪説で考える方が安全(土星)ですし、冷静に議論できると感じています。
人気作家であるJ・K・ローリングのこの発言は、かなり覚悟がいる(全てを失う)発言ではないでしょうか。そうした大衆人気に迎合せず、秩序に関する特別な考えを持っているのは、いかにもキロン×土星的。
トランスジェンダーである筆者は、目先のかっこよさ(進歩的だとか、今流行りだとか)に囚われた時代のムード(海王星)に流される姿勢には、危機感(天王星)を感じています。ムードに流されて、何でも「YES!」だけ言っていると、大変なことになりますよね?特にこのような問題は、発言に責任が伴います。
こうした発言にも、一歩引いて冷静になれることが大切。もちろんトランスジェンダーである筆者も、秩序を乱さないように生活していますし、お互いが双方に思いやりを持ち、理解しようと歩み寄れるかが、これから大切な時代なんだとも思っています。
こうした「安心・安全」に関する傷やコンプレックスを持ちやすい、キロン×土星。ただそうした発言が誰かの不安を癒し、またもっと進歩的な議論へと発展するきっかけを作るのかもしれません。