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【占星術的意味と解説】キロン(カイロン)傷ついた異端者の癒しの旅路

キロンとは

占星術では、キロン(カイロン)とは『傷ついた場所』『癒しが必要な場所』を知る事ができる小惑星と言われています。

私たちの根源的な深い傷と、その痛みをどう癒していくのか?を探る際に活用できる場所と思ってください。

キロンのアスペクトがチャートに多い場合、養育者からの育児放棄、虐待をされて育つ可能性がある事を示唆しているとも言われています。

実際、筆者のチャートにもキロンのアスペクトがものすごく多いです。

  • 太陽×120度で、自分自身に傷がある可能性(肉体、人生など)
  • 家庭と心に傷がある月×キロン180度
  • ジェンダーやいじめなどの傷を持つ火星×キロン180度
  • 距離感や社会からの疎外感の天王星×キロン180度
  • 冥王星とは150度で、生死の危険が高い(自死や限界を越える経験)

またキロン自体も逆行している時に出生しています。

虐待サバイバーでもあり、父親が蒸発した時点で育児放棄にも遭っています。
自分のトラウマを癒すためにも、キロンの研究のためにも、この経験がキロンの解釈に活かせればと願っています。

カウンセラーや占星術師と一緒に、過去のトラウマに対処したりするための貴重な期間になると言われています。

キロンのサイン(星座)によって、向き合う内容が異なってきます。

出生図のキロンに逆行を持っている方(筆者もですが)は、常に心や体の傷に向き合う人生となります。

その原因はなんであったのか?因果関係はなにか?内面の世界との対話の人生となります。しかしその傷を受け入れた時に、自己のユニークな特性と得られた知恵を他者へ還元していこうとするでしょう。

公転周期は約50年。

12サイン(星座)すべてを旅するのに約50年を必要とする為、50歳の誕生日前後に『キロン(カイロン)リターン』を経験します。

小惑星キロン : 2060 Chiron、95P/Chiron

パロマー天文台で1977年10月18日に撮影された画像から、1977年11月1日にチャールズ・トーマス・コワルによって発見されたのが、小惑星キロンです。

マスコミによって10番目の惑星であると主張されましたが、その後は小惑星か彗星かで長らく議論を起こしました。現在ではおそらく短周期彗星になっていくであろうと言われています。

周期的な彗星活動のために氷が露出しており、青(または青灰)の色をしています。小惑星帯とカイパー帯の間を周回するケンタウルス族(小惑星)の一種で、土星と天王星の軌道を回っており、時に海王星をも巻き込んでいます。

ギリシャ神話のキロン

小惑星キロンとは、ギリシャ神話のケイロンが名前の由来となっています。

“大地および農耕の神”であり、”ゼウスの父”でもあるクロノスと、ニンフ(妖精)のピリュラの間に生まれました。

大神クロノスは、海岸沿いで美しい妖精ピリュラを目にし、彼女の警戒を解くため(また妻であるレイアの目を欺くため)馬の姿となって近づき、無理矢理ピリュラと交わります。

しかし妻レイアに情事が見つかってしまい、馬の姿のままクロノスはその場を逃げ去ってしまいます。この時に身籠ってしまったのがケイロンで、ピリュラは(自分自身を恥じて)住んでいた土地を去り、放浪の末に辿り着いたペラスゴスの山中でケイロンを出産します。

しかし馬の姿であったクロノスによって授かったケイロンは、『半人半馬(上半身は人間で、下半身が馬)』の姿で生まれ落ちます。

その姿を見て悲嘆にくれたピリュラは、悲しみのあまりゼウスに願って菩提樹へと姿を変えてしまうのです。

いわば、ケイロンとは『望まれない妊娠』により生まれ、『望まれない姿』であった事から、母親ピリュラに捨てられてしまった存在なのです。

父には認知されず、母親にも捨てられた孤児ケイロンは、音楽や治療の神でもあり預言者でもあったアポロンと、狩猟と貞潔の月の女神アルテミスに養育される事になります。

文化的な二人の兄妹から、医学、予言、音楽、狩猟の知識を学んでいったケイロンは、ペーリオン山の洞穴に住み、その近くで薬草を栽培しては病人を助け、必要な知識を惜しみなく周囲に分け与えて過ごします。

このケイロンの姿勢は、自分を捨てた両親を恨む事ではなく、血のつながりがない養父母から受けた慈愛の心を、今度は自分も他者へ分け与えていこうとする姿です。

傷ついた心を癒すのは、憎しみの連鎖ではなく、傷から学び、自分を癒す事。その過程で得た知識で今度は人を癒していく、という一連のサイクルとも言えます。

ケイロンは、父クロノスから下半身が馬の姿だけではなく、不死の力も受け継いでおり、どれだけ傷を負っても蘇生し、年を取らない体を手に入れていました。

しかしケンタウロス族がヘラクレスと衝突し、争いに巻き込まれた際に、ヘラクレスの放った毒矢が誤ってケイロンの膝に突き刺さってしまいます。

不死身の身体故、痛みに耐えきれなかったケイロンは、ゼウスに頼み不死身の能力はプロメテウスに譲り、自身は死を選びます。

そしてその死を惜しんだゼウスにより、ケイロンは射手座へと姿を変えます。

皮肉なことに医者でもあった彼は自分の身体だけは癒す事も治療する事もできなかった事から、『傷ついたヒーラー』と占星術の世界では呼ばれています。

・まとめ

神話の世界でのカイロンとは、生まれながらに孤独で傷ついた存在でした。

しかし血の繋がらない人々の愛情や知恵、慈愛を受けた事で通常ならば体験できない大きな愛(父性や母性、無償の愛)を感じる経験、人生の教訓を得たとも言えるでしょう。

これは筆者の話で恐縮ですが、筆者も家族からは愛情を全く得られなかったものの、通常なら感じる事ができなかった感性を人生で得たと思っています。

例えば音楽を通して作り手の感性や愛情、父性や母性を感じたり、他者からのささやかな愛情や親切を敏感に感じ取る能力や、その愛情を通して『血のつながりだけが全てじゃない』という、独特の感性など。

血の繋がりの中で育つと、自然と血の繋がった家族が欲しいと思うのが人間です。
しかし、多くの虐待経験を持つ人々ならわかっていただけるように、虐待サバイバー達は『血のつながりを拒否』する面が多々あると思います。

そして親に捨てられた経験から、『もう2度とこんな思いはしたくない(捨てられたくない)』と強く恐れてしまう面もあります。

『だったら最初から大切な存在など欲しくない(人との接触を遠ざける姿勢)』という、傷がない人々には理解しがたい、孤独な人生を(傷を抱えたまま)生きてしまう傾向があります。

そうした人々の癒しや傷、痛みに寄り添えるような存在がキロンなのではないかと、筆者は考えています。

占星術の観点からのキロン

キロンのルーラー(守護星)には議論があります。神話ケイロンから射手座とするもの、健康や知恵、奉仕から乙女座とするものが一般的でしょう。

中には人との交流から天秤座、毒矢に打たれた事から蠍座までを巻き込んで、乙女座〜射手座までを支配し、山羊座(土星)への架け橋とする、という解釈もあります(筆者もこれには共鳴します)

ただそもそもキロンとは『小惑星か彗星か』という、権威の議論がまだ終結していない存在です。現在短周期彗星になっていくであろうとも言われており、彗星にはそもそもルーラーを必要としない事から、『ルーラーの称号』自体、無意味な議論である可能性があります。

参考文献『Chiron – Healer and Wholemaker (English Edition)

筆者としては、乙女座〜射手座までの4つの癒しのプロセスに関与するのが、カイロン。そう解釈すると納得できるような気がします。

ここでわかるのは、そのサイン(星座)の性質の傷と癒しです。
サインが牡羊座なら自我に傷があり、牡牛座ならお金や所有する事に傷がある…など。

またここでは『世代間の傷と癒しのプロセス』がわかります。

例えば、現在キロンは2019年より『牡羊座』に移動しており、火のエネルギーが今後続いていきます。

どういう意味かというと、『行動的なプロセスで傷を癒していく時代(世代)』と解釈できます。

この期間は、積極的に傷を癒す行動に出る事、自我とは何か?の問いかけと癒しのプロセスが時代から必要とされるであろうと読み解けます。また氷河期世代の人々は現在キロンリターンがきています。

『傷に向き合い、積極的に傷を癒す行動に出る時代』に、このサイトが何かのヒントを提示できれば幸いです。

キロンのあるハウスは、『傷が起こった領域』を示しています。

何について傷ついていて、何を『癒す必要があるか』を教えてくれる場所です。

しかしキロンとは癒しの方法を人生の長い期間探っていくポイントでもあり、すぐに解決できるようなトピックでは通常ありません。それはどういう事かというと、癒す過程で『そのハウスから外に出る必要性』も提示しています。

いわばハウスとは『Cage(ケージ)』でもあり、捕らえられた鳥(傷や痛み)はケージから出て解放していく必要があるのです。

通常アスペクトとは、その惑星の側面を強化します。しかしキロンではそうではなく、機能するかどうか曖昧であったり、惑星とキロン(傷)の間で対立が起きたりします。

また問題を意識する、しないに関係なくキロン(傷)に関するテストやレッスンが人生で起きてきます(それも予想もしていなかった場所から)

キロン(傷)とは『内なる戦い』であると、筆者は自分の人生経験から解釈しています。

まずは問題に目覚める事、癒しが必要だと気づき癒していく過程で様々な知恵を獲得していく事、そのプロセスは『長い旅路である』と覚悟して、焦らない意識が大切であると思うのです。

土星と天王星の軌道を回り、海王星をも関わる事から『社会的な天体の橋渡し』として知られています。

Astrology and the Rising of Kundalini: The Transformative Power of Saturn, Chiron, and Uranus (English Edition)』で、著者バーバラ・ハンド・クロウは土星と天王星の間に架かる『虹の橋』としてカイロンを指しています。

自分自身を抑えること、抑圧(土星)から、どこでぶっ壊すか、反抗するか(天王星)の妥協点を見つける際に、キロンが架け橋となってくれるかもしれません。

キロンのアスペクト

キロンを感性で理解できる音楽

Slipknot 『Unsainted』

スリップノットのVo.コリィ・テイラーの生い立ちは壮絶で有名です。何年にもわたって母親と国中を移動した母子家庭のホームレスで、幼い頃に満足な食事を得られなかった事で身長が平均より低い事はよく知られています。自傷行為、薬物依存、自殺未遂など、人生は困難を極めました。彼は幼い時に性的虐待の犠牲(外部ページ)にもなっており、長い間その傷を隠し、活動をしてきた事を近年告白しています。

過激なメタルバンドのフロントマンとして活動してきたコリィですが、彼がたった一言『私が今まで望んできたのは父親になることだけでした』と話したのはとても悲しい話です。彼は『子供たちに私が経験したことを決して経験させたくないので、大学の資金、請求書の支払い、衣服や食料の購入、強固で安全な基盤、何も心配する必要がない事を示したい。彼らに自分は保護されている、と感じて欲しい』と語っています。

キロンが持つ虐待と育児放棄の環境に生まれやすい事、(心と身体両面に)傷を持ち、その傷ついた体験を癒す人生、そこから得た知恵で人々を救う、キロンの体現者と言える人でしょう。彼の絶叫は心の痛みを歌い、美しい歌声に変わる瞬間はまさに癒しを表現しているのかもしれません。
彼は土星×冥王星90度という、最も冷酷で悲しい星と、ヒーラーとして生きる強い使命を持つ、太陽×キロン120度を持っています。

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参考文献(洋書)